20230426 記録

日々さまざまな単語、文、話が頭のなかでぽこぽこと生まれて浮遊しているから、見つけ次第なんと書かれているのかだけ確認するようにしている。それでいて、少しでも変だったら「それ、本当にあなたのことばですか?」とポップアップが出てくる。私が思ったことのなかに、たまに私が思っていないことが紛れているから。それを見極めるために学習して自動的に表示されるようになった。精度は高くないので、上手に私の言葉のふりをしている私が思っていないことは、きっとすり抜けていってしまっている。でもそのときはもう私の言葉のような気もする。明らかに思っていないことを思っているのを検出できたときは、どうぶつの森で珍しい魚を釣り上げたときのような気持ちよさ。犬に四肢を食い殺されたいなぁ、とかは思っていないから「ぴこん♪」ときこえてくる。

 

朝のバイト中、私が運んでいる台車と壁の狭い隙間を誰かが通る。どうしてわざわざこんなところを通るんだと驚き、事故を避けるために身体が動く。ぱっと振り返ると誰もいなくて、無駄に心臓に負荷をかけたなぁと思う。事故がよぎったから鼓動はやくなっていた。あまりにも自分の真横を勢いよく通った感触があるものだから、少し苛立ってしまった。

こういうことはすごい頻度である。足をひっぱられたような気がして転びそうになるとか、生き物が通った気がして全身の筋肉が収縮するとか。驚くことが嫌で予防線を張りすぎて結果的にもっと負担になっているのかなぁ。猫だったら毛がだいぶ逆立っているくらいの緊張。生き物が通ったと思ってしまうのはたぶんほか二つとは異なる問題だけど。生物に対して、だいぶ落ち着いてきたものの恐怖心と警戒心が強いので仕方ない。一時は一切の動物を直視できなかったけれど、今はへっちゃらだ。ハシビロコウが餌を食べようとするも下手くそで食べられない動画も見られる。



キスしたいけど口内炎ができていて舌を火傷しているし、セックスしたいけど膣炎だ。「それ、本当にあなたのことばですか?」「はい」

したくないから身体がこうなっているのか。シンプルに身体の抵抗力が弱すぎる。抵抗力がすべて精神のほうにきてしまっている。もう少しでいいから体機能のほうに分けてやってくれ。精神性のほうの抵抗力は十分すぎるんだ、バランスっていうものがわからないのだろうか。最低スタートからの連想だが、「夢で好きな人に出会えたら向こうから想われている」と考えられていたという話を聞いたことを思い出した。たしか和歌かなにかを授業で読んだときだった。私は、普段から意識的に行為を寄せている相手のことを夢にまでみるのだと捉えていたから、逆の考え方だったので面白いと感じた。そう思うと、身体がこうだからしたくなってしまっているのだとも考えられるが、なんか全部嘘なような気もしてきた。全部嘘だと思う。全部って言うのは、全部の全部で。

 

最近ずっと頭が痛いけれど、頭が痛いことが私といってもいいくらいなので、今さら憂うことはない。ただたくさん寝たり、薬を飲んでいないのに飲んだと思い込んだりすることで日々を乗り切ればいいだけだから。薬を飲んでいないのに飲んだと思い込むことのいいことは、薬を消費しないので薬がなくならないこと。薬がなくならないと薬を買いに行かなくていいし、そもそもいつも気持ちの悪い安い鎮痛剤ばかり買っているからあんなのは飲まない方がいいに決まっている。最近、その鎮痛剤のDXという、何かしらの成分が最大量配合されたバージョンも飲んでみた。すごくすごくケミカルで、通常版よりもヤバい味がする。中野ブロードウェイの2階みたいな味がする。父親にそれを言ったらお前は中野ブロードウェイを食ったことがあるのかと聞かれたが、飲ませたらたしかにわかると言ってくれた。あれはやばい。癖になるとかではなくてシンプルに気持ち悪い味。水で流し込んでいてもしばらく口の中が変な味になる。めちゃくちゃ嫌というわけではないけれど、最近鎮痛剤を避けているのはやはりあの味がキモすぎるからだろう。父はラムネのようにいつも鎮痛剤を飲んでいるし、若い頃からずっと頭が痛くてずっとそうしているらしいので、私は控えようという気持ちでいる。酒も煙草もいっさいしないのに鎮痛剤だけめちゃくちゃやっている父。いちばんアウトな響き。ちゃんと容量用法は守っていますけどね。

 

バイトに行った後にバイトに行く日は、嫌な気持ちになりそうだが案外そうでもない。働いている状態が好きだからかな。ちょっとは人や社会の役に立っているのかなぁと思えるし、稼いでいることが時間の経過とともに感じられるのでよい。今日はテレアポで厄介おばさんにブチギレられた。先週時点で25,26日あたりの20時にまた電話してくださいと言われたので、またそのあたりで連絡しますと答えていた。25は定休日だから今日かけた。そうしたら、「昨日と言ったからずっと待っていたのにかけてこなかった」とずっと怒っていて、怒っているひとの話し方だなあと思った。加害の意志をしっかりと感じられてよかった。頑張って私を傷つけにきているのだなあと思うと微笑ましかった。それらしい声色で謝った。契約が取れそうな人を逃したのは惜しかったけれど、別に他にも人はごまんと(本当は数千人)いるから、全く落ち込むことはなかった。そもそも、その数千人に断られて一人も相手にしてくれなくても別に落ち込むことはない。あくまでも××代理店 株式会社○○の人間Aとして話を聞いてもらえなかっただけで、そこに私はいない。こういう幽体離脱みたいな、私が居たり抜けたり留守だったり半分顔を出したり、ができるから便利。きっとこのせいで起きる障害もあるのだろうけれど。私なんていたりいなかったりくらいがちょうどいいと思うし。