20230427 記録

海賊団とはいうけれど、海賊自体が集団っぽいから、集団のさらに集合ってことかなぁ。暴走族は暴走族団とは言わないもんね。おかしいなぁ、と頭で考えていたけれど文字で見れば一発でわかる。こういうアホな考えは無の作業をしているときにしか出てこないので大事にしたい。インターネットを片手に持ってしまったら海賊が集団でないことなんて何ら不思議ではないだろうに。音で考えすぎている。でももし叶うなら全部音になってもいい。全部が音になったら、美しいものはもっと美しくなるかな。汚いものはもっと汚くなるかな。あらゆる物差しが変わって面白いだろうなぁ。みんなの美しさが壊れるところに興味があるのかもしれない。

 

そこまで暑いとは思わなかったのにポロシャツらしきものを着ている若い女性がいて、すれ違いざまにちらりと視線をやった。ヴィヴィアンのシャツだった。ユーズドなのか知らないけれどエグいくらい皺が入っているし色がくたびれた白だし、それがおしゃれに働いているわけでも似合っているわけでもなくて、すごーく気になってしまった。良いか悪いかはわからないものとした上で街ゆく人の服が気になって仕方ない。かと思えば仕事で会う人や友達の服は見落としてしまうこともあるので、ただ他人の服に興味があるのとも少し違うようだ。

その15分後くらいには母に連れられたアクエリアスを持った半袖兄弟ともすれ違った。これは、ただ夏に行っていただけだった。私はシャツにアウターを羽織っていたので、向こうからしたら奇妙だったかもしれない。申し訳ないな。

 

興味のあった展示が今週いっぱいで終わってしまうというので、どうにか行ってみることにした。ギャラリーが西麻布にあるというから、立地を調べたら、表参道駅からも乃木坂駅からも外苑前駅からも六本木駅からも十数分かかるようで、だったら麻布なんかじゃなくて初台駅徒歩2分とかにしてくれと思った。的を射ていないにもほどがあるのだろうけれど、まぁそう思った。どの駅も自宅からの不便さは変わらないので、慣れている上に霊園の脇道を通るルートになる乃木坂駅から行くことにした。どう考えても霊園の脇を通る道に勝るものはない。

 

港区なんて気取った地域も、青山霊園を見るとなーんだたいしたことないじゃんと思う。多磨霊園の横を通っているときと大した変わりはない。土と草の匂い。それに加えて20mごとに変な匂いがしたので、多磨霊園よりもよくない。港区はたいしたことない。

霊園の沿道には40台ぐらいタクシーが停車していた。あのあたりはタクシーが溜まりまくっていて、すぐ近くの六本木トンネルを通るときもいつだってタクシーが沢山停まっている。それも、客を待つというよりは完全なる休憩。私は大きな道路の右側の歩道を歩いていたため、ちょうど停止しているタクシーのフロントガラスが次々と見えた。ガラス越しに、運転手のおじさんが昼ご飯をたべるなり、携帯を見るなり、仮眠を取るなり、しているのを見ることができる。シートを最大まで倒している人もいるし、コンビニの麺を食べている人もいるし、変な体勢でリラックスしている人もいるし、休憩時間だけを切り取って次々と見られるのが面白い。何かに似ているなぁと思ったけれどトモダチコレクションだ。マンションの窓からそれぞれ個人が何をして過ごしているのかのぞき見できる。あくまで個の空間で過ごしているというのが重要で、それを一方的に見ることができるのは本当に楽しい。動物園の動物はきっと見られているという意識が少しはあると思う。だから、これくらい見られている意識がない対象を見つめるという機会はない。のぞき部屋に一度行ってみたいと思っているが、のぞき部屋(のぞかれ部屋側)の人も見られている意識はあるわけで、ホンモノの見られる意識のない人を見られるというチャンスは滅多に、全くと言っていいほどないのではないだろうか。こういうのを突き詰めると盗聴とか盗撮になってしまうのだろうな。やめよやめよ。

 

目当てのギャラリーはかなり老朽化した建物の4階で、1階から2階へあがる階段の前を通っただけでかなり不安になるくらいの朽ち具合だった。エレベーターも思いつく限り今あるいちばん古いタイプのやつ。ドアに挟まれようものなら自動で開くという生ぬるい優しさなどなく、容赦なく重すぎる力で押し潰される。ボタンもしっかりと押す感覚があるやつ。「プッシュ」という感じがする。押すとオレンジ系の色に光る。光るというほどは光っていない。前に不安になるエレベーターに乗ったのも馬喰町のあたりの古い画廊だった。不安エレベーターは芸術の入り口なのか。

個展に関しては別に特筆することはない。見たかった人の絵を見たという事実しかなくて、そこに特別な感情はない。得体も知れない展示に行くときの発見はもちろん楽しいが、そうではないときの確認のような時間も嫌いではない。だからわざわざ変な道を歩いてきているわけだし。最近はアーティスト本人ではなく画廊の人と雑談をすることができるようになってきた。と言っても、どれくらいの会期で展示が変わっているのかを尋ねるとかだけれど。それで大体の周期を知ってまた来てみますと言ってみる。それくらいでも、無言で帰るよりは心地いい。

帰りはバスに乗ってみた。港区のバスは普通のバスだ。なんであんなにも特別視されているんだ。たいしたことないのに。降車して歩いていたら、小学生とすれ違った。港区の小学生も私が使っていたのと同じ形、同じようなデザインの絵の具セットを肩からななめがけしている。ちょっとあんしんするね。

鬼滅の刃をはじめてみた。なぜか3期のアニメからみた。夕方から夜にかけて全11話見切った。合間に大量のホットケーキと大量のピザを食べた。不健康保育園みたいでよかった、保育園児ももちろんいた。