不埒な悪魔、自己陶酔記録

街に人が多すぎる。そりゃあ休日に渋谷や新宿に行く用事があったのが悪いのだけれども。人が多いと神経をいつも以上に無駄に擦り減らしているのがよくわかる。無駄に、というところがつらい。不必要なところに意識が飛びまくっている。休日の渋谷は全方向から人が集っているせいで、多種多様な人間の展示会みたい。でもあんまりオシャレな人もいない。人間のたんぽぽハウス。半袖で過ごせるくらいの暑さなのにパラッパラッパーのアイツみたいなニット帽を被っている人がいたり、どこで買ったんだよ子供服のデカいのかよと思う服を着ている人がいたり。新宿に移動してみれば、壁画くらいぼってりとした化粧の男性がいたり、その体型でそのお召し物は辛くないですかと聞きたくなってしまう人がいたり。赤の他人のファッションが気になり始めて、気にしないようにしようと思うたびに自分の常識の外側にいる人を見つけてしまって気をおかしくしそうになる。

 

ここ数日で5つ展示を見た。どれも小規模のものだったので、隙間の時間でサクッと見られた。アート作品を見ている時間はかなり好きだ。消費の中でもずば抜けて自分が離れている感覚がある。お笑いを見ても、映画を観ても、テレビラジオ配信ライブを見ても、関連する事柄を考え始めたり自分に当てはまる部分を思ったりして自分がうるさい。音楽を聴くことはあまりにも自由なため、やはり私自身が走り回ってしまう。美術はいい具合に実体が必要なのに私がいなくなって見られるから楽しい。共感をされたいわけでもなければ全てを否定しているわけでもなく、ただなんとなくの感覚としてそんな気がする。アートに関して自分は何も意見がないというのも大きい。chim pomはあまり好ましいと思わない、とかはあるけれど。

 

最近の生活のテーマは私がいる/いないが中心になってきている。いてもいなくてもいいのだけれど、それがどう作用するかとかいないときにどうなっているのかとか、答えがないなりに考えてみている。ないなり寿司。少し前に、文章を書くのが好きな友人と久々にLINEをしたら思いもよらないことを言われた。書くことを「記録」として楽しんでいるかという話になり、私は書いている瞬間が一番楽しいので、読み返すことに重きは置いていないと話す。そこから自分たちが書いていることは誰の意見か、という話になった。私は私が好き故に、広く私がいてほしくて、あれも私だしこれも私だと思っている。それを編集と表すのだろうか。一方で友人は、書いているのは全部自分ではないと言っていた。つまり、全てを物語として捉えているという。

「雨が降ってきた、頭皮に垂れた雨粒が冷たかった」

これが私の言葉ではなく、物語の主人公の言葉となるのだと。私はそんな経験がなかったのでとても驚いた。ちなみにTwitterは?と聞いたら、Twitterもあんまり自分じゃないかもと言っていた。じゃあ一体君はどこにいるの。でもそうか、これが私ではなくなればもっと物語をつくれるのか。演劇をプレイヤー側でするのにも疲れている自分は、私が私以外でなくなることに面白さをあまり見出せていない。私が私の面積を着々と広げて、どこを切り取っても私になっているのを面白がっている。そろそろこれが変わってくる頃なのだろうかと思った。私以外になっている私もいいだろうな〜。

 

一昨日は10くらい歳の離れた男性の友人と会った。昨日は幼馴染の親友と会った。どちらも楽しかったけれど、内臓がサ終に差し掛かっていて2日ともお話にならない腹痛ゲボリーヌだったのは嫌だった。安心してください、はいてませんよ。

大した事件とかはなかったけれど、少し怖かったことがある。元来私は他人からどう思われているかが本当にどうでも良いのだが、流石に身近な人や友達がどう思っているかは興味がある。一昨日会った方の友人と会話をしていたとき、突然

「案外(私)は普通の(実年齢)歳の女の子だよね」

と言われた。自分は実年齢らしいと言われたことが本当にないので、最初はすごく嬉しかった。ありがとうと言った。そんなふうに見えることがあるのだろうか。私は仕事以外の時間に自分の年齢も性別も忘れていることが多いのですごく驚いた。(実年齢)歳の女の子で自分のような人間を見たことがないのだが、少なくとも彼の想像する(実年齢)歳の女の子の像と私は重なっているらしい。

帰りに1人になって「女の子」の部分が引っかかった。素直に可愛いって言えなかったのかな。あの人に好かれていることには間違いないのだけれど、なんだか面白かった。私も(実年齢)歳の女の子かぁ。

翌日に会った親友には、「お前は悪魔みたいなやつだ」「人間じゃない」「いつか誰かに刺されて死ぬ」「心配してる」「お前はおかしい」みたいなことをずっと言われた。普通の(実年齢)歳の女の子でありながらいつか誰かに刺される悪魔なのかよ。私を広げすぎているのだろうか。整理整頓ができないってこういうことか。編集のしすぎか。わからないわからない。どこを切り取っても私だからさっぱりわからない。

 

親友から聞いた話で一つ大きな衝撃を受けてしまったことがあって、昨晩はジムで運動しながら不埒なことたくさん考えてしまった。運動で頭がスッキリするみたいな話はどこにいった。家に帰っても飯を食ってもテレビを見ても不埒不埒不埒で、自分が破滅しながら大勢の他人を破滅させるようなことばかり思い浮かんだ。単純に不特定多数とセックスしてぇ〜みたいな欲求だったらもう少し笑っていられるのだが、そうではない。自分が本当に興奮できることはなんだろうと考えると決まって法律に頭をぶつけるので何も笑えない。こういう侵入思考的なものは一瞬だけ受信してしまうことはあるけれど、こんなにも長居されることはなかなかなかった。このまま勝手に居候されて挙句私が出ていって、こいつの住処にされてしまうのではないかと怯えた。けれど、今朝起きたら私の寝ている間に静かに帰っていたようだし、毛布も畳んであった。私の荷物が荒らされているような気がして念のため確認したが、そもそも私が空き巣くらい部屋を荒らしているからアイツは何もしていなかった。本当に安心した。人を傷つけないで済む。私のことを大切にしてくれている人なんか絶対に傷つけてはいけない。わかっていることをわかってよかった。

 

でも全然、赤の他人の指を食みたいとかは思います。エロいですので。椅子になってくれる人が1人いればいいのにとかも思います。これさあ、パワハラだよね!ばか上忍になってしまいました。早く売れたいです。